2012年09月07日(金)
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昔話「鶴の恩返し」の絵本や挿絵では、障子の向こうで鶴が機を織っているシルエットの場面がよくある。これが不思議だった。
鶴の身体でどうやって機織り機操作ができるのか、という点ではなくて、こんな影見えてるんだったら覗かなくたってばれてるじゃん!っていう点だ。
機織り作業の現場を見てはならぬと言われたおばあさんが、その禁を破ったため「あー、見られたからもう帰るわー」って言って鶴は帰ったわけだが、このシルエット問題と合わせて考えるに、これはいわゆるダチョウ倶楽部の「押すなよ?!絶対押すなよ?!」っていうあれだと思う。
鶴は夜な夜な自分の羽をむしって布を織っていたのだから、そりゃいつかは限界が来るわけで、後半正直そろそろ鶴もしんどかったに違いない。命助けられたしなー、自分から「もうおしまいね」って言いづらなー。察してくれないかなー、って感じで。
そこでおばあさんが、シルエットですでにバレバレだったけど、あえて覗くことで鶴を帰してやった、という話に違いない。
おばあさんがにぶかったらたいへんだった。きっと羽根全部失って引っ込みつかなくなった鶴が「ふつう『覗くな』って言ったら覗くっしょ!おかしくね!?」って逆ギレしてたはずだ。
たいていの昔話にはなにかしら教訓みたいなものが含まれているが、鶴の恩返しのそれは「空気読め」ってことだと思う。
(総裁談) | | |