2006年05月30日(火) 
 
「賢者の贈り物」という掌篇をご存じかと思う。オー・ヘンリー作のハートウォーミング学園ラブストーリーだ。うそ。学園はちがう。

貧乏な夫婦が、クリスマスを向かえるに当たり、妻は髪の毛を売って時計鎖をプレゼント、一方夫は時計を売って櫛をプレゼント。呆然。というこの物語が教えるのは「事前のすりあわせの大切さ」だと思う。いわゆる「ほう・れん・そう」だ。

だのにいまだにテレビドラマとかでは「恋人をびっくりさせてやろう」が原因で話がこじれる、というストーリー展開が後を絶たない。ヘンリーも嘆いていることと思う。「夢オチ」が忌避されるのにどうしてこの物語の動かし方は許されるのか。

あと、「賢者の贈り物」の最後でオー・ヘンリーは「この二人こそ、最も賢い人たちなのです」と結んでいるが、「ほう・れん・そう」を欠かした、例えば営業レポートを出さなかったセールスマンの上司は決してそうは言わないないと思う。

(総裁談)

2006年05月28日(日) 
 
「あすなろ」の名を冠したものをいろいろなところで見かける。

小学生のころ、「あすなろの歌」を歌わされたり、文集のタイトルが「あすなろ」だったりした。一切の陰りが許されない押しつげがましいポジティブさが凝縮されている嫌な言葉だと思って子供心にもなんだかむずむずした。「あすなろ白書」とか、それは素で言ってるのか、笑うところじゃないのか、と思ったものだ。作者は本気だったようだが。

しかし、考えてみたらこの「明日はなろう」の「あすなろ」、とらえようによっては「明日できることは今日しない」的な意味にも取れる。「あの件はどうなってるのかね?」「あ、これからやります」という感じ。一気に親近感。いい友達になれそうだ。

だいたい「あすなろ」ってヒノキより劣る木とされていて「あすはヒノキになろう」、で「あすなろ」だそうだが、あすなろに失礼だ。なんなのそのヒノキの絶対感は。あすなろに謝れ。命名者はいますぐ市役所に行って改名の手続きしてこい。

(総裁談)

2006年05月27日(土) 
 


昨日は、本日土曜日から開催される「大団地展」の準備で春日井にいました。写真展、まっとうなアートっぽくなってます。初日の今日は会場にいますので、お暇な方は、ぜひ。

(総裁談)

2006年05月26日(金) 
 
ゼネラル・エレクトリックという会社がある。その名前と、エジソンが作った会社だという事実からも分かるとおり、もともとは電気機器のメーカーだった。

しかしいまや世界最大の複合企業として有名で、素材、メディア(NBCユニバーサル)、軍事、金融事業などなどその事業は様々な分野に及んでいる。もはや「エレクトリック」じゃない。日本で言えばあの「ほのぼのレイク」もゼネラル・エレクトリックの子会社だ。とんだエレクトリックだ。

世界的に有名なブランドになってしまったが故にもう「エレクトリック」を引っ込められないんだろう。これはテレビ朝日の長寿番組「世界の車窓から」も似ている。最近あの番組は全然車窓と関係ない。今日なんて美術館のムンクの「叫び」を映してたよ。

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いよいよ明日土曜日から春日井で「大団地展」が開催されます。初日はぼくも会場にいます。お近くにお住まいの方は、ぜひ。
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(総裁談)

2006年05月25日(木) 
 
「おととい」を漢字で書くと「一昨日」なのが納得できない。「二昨日」であるべきだと思う。

という話を何人かの友人にしたことがあるのだがまったく賛同が得られない。自分がかかえている違和感をうまく表現できていないせいだと思う。

しかし、違和感をうまく説明する方法を思いついた。「一昨日」が「おととい」なら「きのう」は「0昨日」か、それでいいのか、という論理だ。インド人が考え出した「0」はその後の思想・科学そのほかあらゆる精神活動に絶大な影響を及ぼした人類の最も偉大な発明だ、と言われるが全くその通りだと思う。どうだ。

「どうだ」とか言ってみたが、読み返してみるとそんなたいしたもんじゃなかった。ちっ。インド人め。単にぼくは「数字・昨日」に「数字×昨日」を感じている、ということか。

あと「あさって」が「明後日」と書かれるのを見るたび「後明日」あるいは「明日後」のほうがいいんじゃないか、とも思う。「明後日」ってなんとなく「put it off」の語順に対するのと同じ違和感を感じる。なんだかわけわからん話ですまん。

(総裁談)

2006年05月24日(水) 
 
徳永英明の「壊れかけのradio」、JUDY AND MARYの「RADIO」。どちらも「radio」の発音が独特だ。日本人離れしている。

でも良く聞くと本来の発音である「レイディオウ」ではなく「レディオ」と歌っているように聞こえる。だったら「ラジオ」でいいんじゃないか。

日本人離れしているけど、外人じゃない。こういうのを「バタくさい」って言うのかもな、と思った。

(総裁談)

2006年05月21日(日) 
 
先頃ぼくの家の近所にオープンした「IKEA」に行った。家具を中心に取り扱うスウェーデンの企業の店舗である。

最近話題のこのIKEAだが、最大の見どころはこの店舗の隣の敷地に建っている団地の給水塔であることは間違いない。東京近郊ではめずらしい、墨痕鮮やかなカモマーク。すてきだ。
ikea_tower

この給水塔、ぼくがデイリーポータルZで給水塔をテーマに記事を書いた際大きく取り上げたものだ(これ。背景の工事中の建造物が今のIKEA)。

団地給水塔のなかでもインパクトのあるものだけに、オープン以来IKEAが動員した非常に多くの人々に深い印象を与えたことと思う。この給水塔のそばを日本再上陸の地として選ぶとは、さすがIKEA。

商品輸送時の環境への負荷を減らすために独自に鉄道を引いてしまうなど、ヨーロッパ生まれの企業らしく地球環境へ配慮した企業活動を行っていることでも有名なIKEAだが、おそらく今後は団地鑑賞への配慮がテーマになってきているんだと思う。さすがIKEA。


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一昨日19日のデイリーポータルZ「夜のジャングルジム」という記事を書きました。うっかりアート写真になってしまいました。
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(総裁談)

2006年05月19日(金) 
 
ここ何年か「iPodプレゼント」という文字を至るところで目にする。もしかしたらiPodは音楽の聴き方に革命をもたらしたというより懸賞界に革命をもたらしたのではないか。

新機種が出ないと困るのはApple経営陣ではなく各社の懸賞企画担当者なんじゃないかと思う。

(総裁談)

2006年05月17日(水) 
 
「家鳴り」というものがある。家で静かにしているときにどこからか聞こえる「ぴしっ」というあの音だ。

湿度や気温の変化などで家の材がきしむ音らしいが、オカルト系の本などではあれが霊が出現する前の音だ、とされていて子どもの頃は怖かった。

先日小学生の子どもと話す機会があって、この家鳴りについて語り合ったところ彼はそんな「霊の出現予告音」だという説を聞いたことがない、と言っていた。そのかわり「違法建築じゃないの」との説を展開していたのにびっくりした。確かに。

家鳴りに霊を見ていたぼくと、違法建築を見ている彼。どっちが怖いか、と言われると困るが、これが時代の移り変わりというものなんだと思う。

(総裁談)

2006年05月16日(火) 
 
英会話教室の宣伝ポスターを見た。海外旅行でレストランに行ったらメニューが読めずに思っていたのと全然違う料理が出てきた、というシチュエーションを描き、だから英会話を勉強しようと呼びかけていた。

英語ができなくて失敗、の表現でこのシチュエーションってよく見る。もうそういう状況設定はいいよ。食傷気味だ。実際にそういうことってあるんだろうけど、紋切り型過ぎて説得力がない。英会話ができるようになって世界を広げよう、と呼びかける割には発想が貧困だと思う。

要するに、いまぼくは英語ができないことをやっかんで、些細なことに突っかかって逆ギレしているわけです。

(総裁談)

2006年05月13日(土) 
 
ちょっとしたTシャツブームが続いているように思う。

最近は個人でも手軽に製作できるようになったので、個性的なデザインのTシャツをネット販売でもよく見かける。例によってただ「萌え」と書いてあるだけのTシャツなどもあり、Tシャツデザイン界はなんでもあり・群雄割拠の世のさまを呈しているといえるだろう。

ふと思ったのはTシャツにプリントしてみると、その言葉がしゃれているかどうかが判断できるのではないか。たとえば上に挙げた「萌え」だが、いまやTシャツにプリントしても「ウィット」として通用するぐらいの言葉に成長したといえるだろう。

しかし「ブログ」はどうだろうか。微妙だと思う。ちょっと恥ずかしい。世の中ブログブログだが、Tシャツにプリントしてみることでブログがまだまだだということが分かると思う。

じゃあ「団地」はどうなのか。ぼくはとてもかっこいいと思うのだが、ぼくはこの言葉に対して冷静な判断ができる視点を失っているので皆さんに判断していただきたい。

いや、判断しなくていいややっぱり。

(総裁談)

2006年05月10日(水) 
 
連休明けの一日の仕事を終えた疲れたサラリーマンがぎゅうぎゅうに詰め込まれたラッシュの電車。誰もが腰掛けたいと思っている。ああ、だのに7人がけの座席に6人。犯人はショッピング帰りとおぼしきおばさん。みんな万感の思いを込めて彼女を睨むのだが一向に空気を読まない。

「詰めてくださいよ」と言えばそうしてくれそうではあるが、みんななかなか言い出しづらいのは、そう言った相手の横に座らなければならないからだと思う。

座る可能性のない遠くの人が「詰めてあげなさい」とか言ってくれないものだろうか、といつも思う。そういうソリューションはどうやったら実現できるのか。web2.0とかはどうでもいいから、頭のいい人にはそういうことを考えて欲しい。

(総裁談)

2006年05月08日(月) 
 
先日スーパーマーケットでスイカを目にして、もうそんな季節かと思いながらふと「スイカの名産地」という歌を思い出した。

みなさんも小学生の頃歌った覚えがあるのではないだろうか。次のような歌詞の歌だ。

「ともだちができた すいかの名産地
 なかよしこよし すいかの名産地
 すいかの名産地 すてきなところよ
 きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地」

変な歌詞。

かろうじてあるストーリーを感じさせはするが、全体的にスイカとはなんの関係もない。たとえばかぼちゃの名産地に置き換えたって問題はなさそうだし、液晶パネルの名産地(亀山)でもよさそうだ。

そんなことを思ってこの歌詞について調べたところ、もとはアメリカ民謡だったことが判明。この歌詞は訳詞だったのだ。

それで納得。たぶんこの「スイカの名産地」はもとの英語では特に意味はない「ライム」だったにちがいない。さすがアメリカ。

(総裁談)

2006年05月05日(金) 
 
「矛盾」というよく知られた故事がある。楚の国に矛と盾を売り歩く商人が、矛を売る時は「この矛はどんな堅い盾でも突き通す」と言い、盾を売る時は「この盾はどんな鋭い矛でも突き通せない」と言った。
それを聞いた客の一人が「じゃあその矛でその盾を突いたら、どうなるんだ?」と聞き、商人は返答に困ってしまった、というお話。

以前、とある会社のとあるシステムの営業担当者が似たような口上を述べたことがあった。このAというシステムは絶対Bという効果を生み、一方このCというシステムは必ずDという効果を生みます、と。そしてBとDはどう考えても同時には成立しないはずで、矛盾の故事に出てくる客よろしく「じゃあそのAとBを両方導入したらどうなるんですか?」と聞きたいところだった(聞かなかったけど)。

「矛盾」という言葉は転じて「論理的に辻褄が合わないこと」を意味するとされているが、正確にはそうじゃないと思う。後になって上記のシステムを開発したエンジニアと話をする機会があったので、営業さんがこんなことを言っていたんだけど、と聞いたところ「ほんとになんで営業の連中ってそういう勝手なこと言うんだろう!」と憤慨していた。

つまり「矛盾」という言葉は「営業さんは嘘をつく」という意味だ。論理的につじつまが合っていないんじゃなくて。きっとくだんの盾と矛の開発者も「ほんとになんで営業の連中ってそういう勝手なこと言うんだろう!」と憤慨していると思う。

あとサポートの人も。

(総裁談)

2006年05月04日(木) 
 
どうにも不思議でならないのは「ハモるのはかっこいい」という価値観だ。

先日もとあるテレビ番組で、出演していたタレント2人(歌手ではない)が流行っている曲をハモって歌ってみせ、他の出演者たちから喝采を受ける、という場面があった。

ハモるのってそんなすごいか?目を覚ませ。

この件に関しては、こうして文字にしてみて自分でも改めて正論だとの思いを新たにしたが、団地の写真を撮りためている人に「目を覚ませ」とか言われたくないとも思う。

(総裁談)

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