総裁ひとり旅(上海出張編)-6


比較的よく見られる構成の物件を違う角度から。
建築デザイン科2年生の作品、ってとこか。

 

ああ、ここは日本じゃないんだね

その高さ、平面の複雑さなど上海ならではの高層団地を紹介してきたが、あらためて日本ではお目にかかれない物件をまとめてご紹介しよう。

手始めにまずこの物件。色々と先進的な試みがされているようだが、全てが失敗に終わっている感じだ。でも嫌いじゃない。 機能を盛りだくさんにしすぎた一昔前のコンポとかラジカセとか、そういうプロダクトを彷彿とさせる。嫌いじゃない。

ワンポイントとなっているブルーT字型の物体もいい感じだ。この手の物体を我々は「おでき」と呼んでいたが、ここにはもはやそんな穏当な表現では言い表せない何かがある。イジェクトボタンか「追い炊き機能」ボタンか、そういった感じの機能を感じさせるデザインだ。嫌いじゃない。

どんなに無茶なデザインをしても、最終的には「いや、風水によってデザインされているんですよ」という言い訳が残されているのではないだろうか。「気の流れが」とか、「壺が」とか。さすが中国。


同じ団地の表と裏。ヤンキーエンブレムもお見事。

 

自分再発見

無茶なデザインに目が慣れてくると、これなんかは比較的端正にまとまっているのでは、という気分になってくるから恐い。画面 上の取っ手のような構造もステキだ。「『ただいま』の後は、充電台にポンと乗せるだけ」とか、そういう感じだろうか。そういえば中央の凹み+円柱の構造も単3電池3本ぐらいに見えてくる。環境のためにニッケル水素、あるいはリチウムイオンであることを望みたい。

それにしても同じ表と裏とでこんなにも印象が違うとは。我々「住宅都市整理公団」は日本においては「通 路側を撮る」を基本理念として活動してきたが、ここ上海では少し考え直さなくてはならないかもしれない。

海外に行って視野が広がる、ってこういうことか。ていうか、上海まで行っといて相変わらず団地、団地って、視野広がってんのか。ほんとか。


中心地の大通りに面して建っていた。赤い梁が魅力的。

団地ビジネスの可能性

街の中心部ではこういうタイプがよく見られた。梁がこのように処理されている団地は日本でも見かけないではないが、ここまで「梁でーす」みたいなのはあまりお目にかかれない。

あとはやはりこの広告である。たぶん広告だと思うが。住人の部屋の開口部をふさいでまでも広告スペースを確保するなんざ、さすが中国である。広告だったらの話ですが。前に書いたとおり家賃は交渉次第ということなので、もしかしたら該当の部屋の住人は広告のロイヤリティをもらう、なんてこともあるのかもしれない。広告だったらの話ですが。

 
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