2002/07/31  

 時効まであと一ヶ月、という事件の容疑者が逮捕されたそうだ。容疑者はさぞかし悔しい思いをしていることだろう。時効を前に警察当局がラストスパートをかけた結果、こんなドラマみたいなタイミングで逮捕できたのだろうか。最初からスパートしなさい。
 
 ところで。ある営業さんに、ずっと以前にたのまれた仕事をいままでほったらかしにしていた。なんか、あんまり本気じゃなさそうだったし、忙しかったので。こういう依頼ってしょっちゅうあって、全部真に受けてるとたいへんなことになるので、適度に自然消滅させることにしている(*1)。

 案の定、それから何回かその営業さんとは顔を合わせていたのだが、その件に関してなんの話もなかったので、やっぱりあれは立ち消えだったかと思っていた。そしたら、今日その営業さんに、あれできた?と聞かれた。

「あの話、生きてたんですか?」
「そりゃそうだよ、やってないんでしょ?」
「いやー、あれっきりなんの音沙汰もなかったから」
「いや、そう思って今日聞いてみたんだけど」
「もっと早く言ってくださいよ。で、いつまでですか」
「今月中」
「今日30日なんですけど…嫌がらせですか」
 

 警察当局はラストスパートをかけたんじゃなくて、ずいぶん前に犯人を見つけていたんだけど、嫌がらせで時効寸前まで待ってたんじゃないだろうか。


---
*1
仕事が一人前にできるようになる、というのは、仕事自体をそつなくこなせるようになることではなく、仕事をそつなくやり過ごせるようになることなのではないかと思う。

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(総裁談)



2002/07/29  

 今年の春先のこと。桜の木のある公園を通りかかったら、新入社員かと思われる人が、夜の花見宴会のための場所取りをしていた(*1)。「まだ何も仕事ができないから」という理由でやらされているのだろう。

 ところで航空会社が、長年つちかってきた接客の奥義を伝授する、というビジネスをやっている。社員教育などにノウハウと指導員を提供するのだそうだ。どうやらスチュワーデスに代表される、航空会社の「接客サービス」は接客業界でも随一ということになっているらしい。

 でも、ぼくが思いつく航空会社の「サービス」とは、ゲートの自動改札機にチケットを入れると、半券が出てくるところに女性が立っていて、自動改札機から出てきた半券をわざわざ手渡してくれる、ということぐらいだ(*2)。

 自動改札機とは、そういう人的手間を省くために開発されたものだと思うのだが。今まで人手でやっていたことを機械で自動化し、そこで改めて人を使うことによって「サービス感」を出しているのではないだろうか。

 これこそが航空会社が長年つちかってきた接客の奥義なのかもしれない。あほか。



 でも、もしかしたらあれは「まだ何も仕事ができないから」という理由で新入社員がやらされているのかもしれない。


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*1
近くにいい感じの団地があった。ぼくが場所取りを命じられたら、そんなものそっちのけで団地に行ってしまうと思った。

*2
なんなんでしょうね、あれは。駅の改札でこれをやっているところを想像すると、そのおかしさが分かる。あれはきれいなスチュワーデスがやってるってだけでなんだか納得してるだけだと思う。

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(総裁談)




2002/07/28  

 以前、飛行機に乗ったときのこと。ぼくの乗ったその飛行機には若いカップルが多く、どうやら彼らは新婚さんたちのようだった。そして機内で上映されていた映画の中で、主人公とヒロインがいちゃつきはじめたら、彼らはなんだかもじもじし始めた(*1)。

 また全然別の機会に飛行機に乗ったときは、台風のために非常に機体が揺れ、子供なんかはみんな大泣きし、機内は重苦しい雰囲気に包まれていた。こりゃまずい、と思ったのかどうなのかは分からないが、機内のスクリーンで「デジモンアドベンチャー」の上映が始まった。とたんに子供たちは泣きやんで画面を食い入るように見ていた。が、そのストーリーは、謎の異常気象で飛行機が墜落するというものだった。機長が落下する機体を必死に操縦しながら「管制塔!!ああーっ」と叫ぶ、というシーンもあった。

 大人たちはあまりの縁起の悪さに青ざめていたが、でも子供はもう夢中だ。



 子供には想像力があって、オトナからはそれが失われている、というのは嘘だと思う。


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*1
さらにそれを見てぼくももじもじし始めたらよいのだろうが、その旅は出張だったので、あいにく隣の席に座っているのは同行の会社のおじさんだった。

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(総裁談)





2002/07/27  

 H.G.ウェルズによる古典SF「タイムマシン」が映画化されたそうですね。


 盗作疑惑のニュースをときどき耳にする。googleで「盗作疑惑」(*1)をキーワードに検索したら1780件も出てきた。小説やら映画やら音楽やら、いろいろな盗作疑惑がある。中には「そんなもの盗作って言われてもねえ」っていうようなしょうもないものもある。

 ぼくがかねてから不思議に思っているのは、さまざまな物語で「タイムマシン」が登場するが、それは盗作ではないのか、ということだ。H.G.ウェルズの後最初にタイムマシンのアイディアを拝借したのは誰なのか、そしてそれはどうして「盗作疑惑」とはならずに、その後みんなが使っていくようになったのか。

 「タイムマシン」は普遍的なアイディアであって、それを利用することは盗作とは言えない、という意見もありそうだが、それはタイムマシンネタがほうぼうで使われてしまっている今だから言えることなんじゃないだろうか。


 ところで今年も夏がやってきて、ビールの広告が目白押しだ。例年通りビールメーカー各社がキャンペーンガールを立てている。ぼくがかねてから気になっているのは、ビールのキャンペーンガールはどうしてみんなビーチで水着姿になってジョッキ片手に、にっこりとしているのか。すごく不自然だと思う。どんな状況だよ、それ(*2)。

 っていうか、キリンもアサヒもサッポロもサントリーもそういう広告をやっているんだが、<http://www.nifty.com/discover/natsuyasumi/beer/gal_f.htm> 誰が最初にこんなことをはじめたのか、そしてそのあと最初にそのアイディアを拝借したのは誰なのか、そしてそれはどうして「盗作疑惑」とはならずに、その後みんなが使っていくようになったのか。


 ま、「そんなもの盗作って言われてもねえ」っていうようなしょうもないものだと思うけど。


---
*1
「疑惑」という言葉がつくだけでとたんにワイドショーの雰囲気になるから不思議。あと「騒ぎ」も。「異臭騒ぎ」とか。

*2
あんなキャンペーンを実際に目の前でやられたら、ビールどころじゃなくなって逆効果だと思います。

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(総裁談)





2002/07/26  

日本料理屋にいった。
イタリア料理や中国料理とは違い敷居が高い。

とりあえずメニューを見せてもらうことにしたが
「メニューは用意してないのですが」
と丁寧に断られる。
不慣れをスマートに乗り越えるため求めた助けは、くしくも不慣れを露呈するはめになった。

もう、スマートさなど構わない。正直に質問をする事にした
「えーっと、注文はどうすればいいんですか?」
「夜はおまかせのみとなっております」

おまかせ。「気まぐれ」などとは違いなじみが薄く、その響きから来る不安感も微妙に違う。あえてイメージするなら「やる気のあるいい加減さ」だろうか?

おまかせに身をゆだねることにしたが、食事中、何回か大将が料理の味や食事の量を聞きにきた。

おまかせしたのに。
おまかせとは言ったもののやっぱり不安な様子は好感が持てた。

(N談)


2002/07/26  

 ちょっと前の会社の経営スローガンは「夢ある企業へ大革新」だった。社内のオフィスのあちこちにこの標語のポスターが貼ってあって、これは笑うところなんだろうかと悩んだものだ。

 そしてなんのためだか英訳も添えられていて、それは「Realizing Dream through Great Innovation」だった。この英語にはものすごく違和感を感じるのだが、英語としておかしいかどうかという以前に、日本語としてもどうかと思うので、なにが違和感の原因なのか分からない。

 今日、電車で、降り際に「じゃ、続きはまた明日。To be continued!」と言っているサラリーマンがいた。とくに酔っているわけではなさそうだった。また、駅から家まで歩いている途中、「それはvery importantだな」と言っているおじさんも見かけた。


 飽食日本の夜明けは遠いと思った。

(総裁談)







2002/07/24  

ある街の名物をランキングするテレビ番組「アド街ック天国」で葛西が取り上げられたことがあった。
放送では

1位/葛西臨海公園
2位/ダイヤと花の大観覧車
3位/葛西臨海水族園
4位/マンモス団地群

名物の4位に団地が入る街、葛西。
個人的にはうれしい限りだが、明らかに上位の3つとは性格が違い過ぎる。こう感じるのはマニアとして未熟なのだろうか?また、形容詞のマンモスも見逃せない。いろんな意味でかなり昔の表現で、見ている方もちょっぴり恥ずかしい。

しかし、マンモスによる形容もすんなり受け入れられる団地もなかなかのものだ。こんな懐の広さもその魅力の一つだと思う。

(N談)


2002/07/23  

 渋谷駅前の街頭で黒いクルマの乗組員の方が「日本の平和ボケには目を覆うものがあり…」って演説していました。

 そして渋谷センター街のHMVの向いに「プリクラのメッカ・ラスベガス」っていう看板を発見。


 ああ、確かに。そうかも。

(総裁談)




2002/07/23  

 下記のような記事があった。

『「コミケ狩り」、大学生ら13人を逮捕、高校生らの金奪う
「マニアは金を持っている」と江東区有明の東京ビッグサイトで開かれたコミケに参加するため寝袋で野宿していた高校3年の少年ら6人を取り囲み、顔や腹を殴ってけがをさせ現金計15万6600円などを奪った疑い』


 江東区有明と言えば都営辰巳アパート、都営東雲2丁目アパートなど充実した団地群がある団地マニアにとってはなじみの深い場所だ。それだけに、世間からの認知のされ具合では大きな開きがあるものの、同じ「マニア」として今回の事件の容疑者には深い憤りを覚える。

 と同時に、狩られるぐらいにまでなってみたいものだ、とアニオタに嫉妬心を感じる側面もあることもまた事実だ。

 第一歩として「マニアは金を持っている」とちゃんと認知されるために、ちゃんとお金を持ち歩こうと思った。


先日の団地巡りの途中、お金がなくてNに2000円借りた総裁でした。

(総裁談)




2002/07/22  

以前、花壇のある公園から団地を撮影していたところ、通りかかった女性に「花を撮っていらっしゃるのですか?」と聞かれたことがある。残念ながら「写真に撮るに足るもの」としてまだまだ団地は花にとうてい及ばないものなのだ。

趣味、芸術、ビジネスなど、各分野で「花」は不動の地位を獲得している。たとえば「花言葉」なんてものもある。当然のことながら「団地言葉」というものはまだない。

団地の魅力啓蒙に取り組む一環として、われわれは「団地グッズ」の開発に取り組んでいるが、「団地言葉」というグッズとひと味違うものを開発しても良いかもしれない。

グッズと花言葉、の組み合わせで思い出したのが「スジャータ」だ。ラベルの部分に誕生日の花言葉が写真とともに印刷されているあれだ。押しつけがましくもなく、すぐ捨てられてしまうが、確実に目にされるものとして、つまり啓蒙戦略としては打ってつけの媒体ではないだろうか。

そんなわけで、下記のようなものを作ってみた。これをもってスジャータに採用のためのプレゼンをしてみたい。


なぜ宇喜田の団地かというと、それは言うまでもなく「褐色の恋人」だからだ。そこら辺に気を使うところから、スジャータ側の心証をよくし、一気に懐に飛び込みたいという意向だ。

(総裁談)




2002/07/20  

「写真やってる人ですか?」と質問をしている人がいた。
気になるのは「~をやっている」で、「撮っている」ではないところだ。

写真の持つ趣味性を巧みに表現していると共に何とも言えない胡散臭さも言い表している。「写真」以外ではどうだろうか?

・道楽でやってる
・適当にやってる
・薬をやってる

「○+やってる=趣味/胡散臭い」の構造が見えてくる。

僕も全然手を付けてない事を催促されたときには「あっ、今やってます」と答えている。説得力の無さが気になっていたが、いい方が悪かったという事にしたい。

(N談)

2002/07/19  

野球中継を見ていると選手にコーチや監督が指示を与えている。
内容はわからない。
大抵それは、敵のチームに悟れないように手を添えたヒソヒソ声や身振りを使ったもので、指示として様になっている。

僕も上司に時々指示を受ける。低い壁越しに首を伸ばした上司が普通の声より少し大きめで指示をおくる。
側に敵のチームはいないけれど、少し投げやりな感じがする。
そして、指示の多くは「それ適当にやっておいて」だ。

時には肩とか鼻とかを触ったサインを出してもらいたい。

彼のデスクへ行くと鼻をいじっているときがあるが、あれはサインだったのかも。

いや、ほじってただけだなあれは。

(N談)



2002/07/18  

 営業さんに「たまにはノミニケーションしましょうよ」と誘われた。ノミニケーション。

  だいぶ昔のニュースだが、宮城県で「ふれあいはしご酒ラリー」なる催しがあった。宮城県のどこだかの飲食店街で、グループではしご酒を競うというものだ。「初めて会った同士の『ノミニケーション』の深さも審査対象になる」とあった(*1)。

 皆さんもいろいろと言いたいことはあると思うが、ひとつ言っておかなくてはならないのは「はしご酒を競う」と言う場合の判定基準はいったい何なのか、ということだ。はしごの数なのだろうか。それなら1店あたりの飲酒量最低量のガイドラインが必要な気がする。ってゆうか、それじゃあただの大酒のみ大会だ。

 結局「ノミニケーション」の深さ「も」審査対象になる、と言っているが、もっぱらこればかりが判定基準になりそうで怖い(*2)。


 全然関係ないんですが、ちょっと前にGLAYが「global communication」ていう、ひさびさに直球バカなタイトルの曲を発表したが、「global nommunication」だったらもっとよかったと思う(*3)。


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*1
なぜ昔のニュースのこんなことを覚えているのかというと、そりゃあ、メモしたからです。ええ、メモしましたとも。

*2
っていうか、「ノミニケーション」の「深さ」って一体。それはもしかして、ただの部長の悪口大会なのでは。

*3
長々書きましたが、これが言いたかっただけです。

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(総裁談)





2002/07/17  

高校の時、剣道部に所属していた。

華がなく奇声を発する上、汗をかいても防具が洗えないため大変臭い。
よって肩身が狭く、洗濯できるユニホームを持ったラグビー部などにあこがれたものだった。

同様に華のない柔道部にも近い存在と感じながらも洗濯できる柔道着にジェラシーを感じずにはいられなかった。

先日のニュースで柔道部について報道されていた。
『栃木県中学校体育連盟が6月に県武道館で開いた柔道大会で、眉を細くそっていた選手6人が、「礼儀に反する身だしなみ」として試合直前に失格になっていたことが分かった。』

「最近の若者はなっていない」とか「眉毛ぐらいいいじゃん」とか「体育連盟も言いがかりはよしなさい」とは思わない。

柔道部の細眉。
ニオイに気を使わなくていい余裕の現れだろうか?
きっと現在でも自分のニオイが気になって、眉毛どころではない剣道部員が不憫でならない。

(N談)


2002/07/16  

 妹とツボの話になった。

 肩こりに効くツボ、とかは分かるんだけど、ツボ界には「痔に効くツボ」「肥満予防のツボ」、しまいには「ドモリに効くツボ」「対人恐怖症に効くツボ」なんてものまである。なんだか非常にうさんくさい。

 人の体には365もの数のツボがあるそうだが、もしかしたら発見されていないだけで「団地マニアに効くツボ」なんてのもあるのかもしれない。

 「体中を1センチ刻みで押していったらいろいろ発見できるんじゃないか」
 「でも途中で『ツボの位置リセット/シャッフルのツボ』を押しちゃって全部やり直しとか」
 「あー、あるかもなー」
 「それで次に『ツボが効かなくなるツボ』を押したりして」



 それ押しちゃったときは「コマンドツボ」(*1)と「Zツボ」を押すんだと思う(*2)。


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*1
人種によっては「コントロールツボ」とも呼ばれます。

*2
どこにあるのかはっきりしたことは言えませんが、たぶん左手の薬指のあたりかと。

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(総裁談)




2002/07/15  

 やりたいんだけど躊躇してしまっていつもできないこと。

 それは、満員のレストランに入って店の人から「お客様のお名前は?」と聞かれたときに本名でない名前を答えることだ。

 別に「綾小路です」と答えるとか、そういうオチャラケをしたいのではないのだ。佐藤でも木村でもいい。とにかく本名でない名前を言いたい(*1)。簡単なことだし、誰にも迷惑はかけないのだからやればいいと思うのだが、一瞬躊躇した後、なぜかいつも本名を答えてしまう。自分でも不思議だ。

 先日知り合いと食事に行ったとき、同じ状況になった。そしてそのとき彼がサラリと偽名を答えたのでぼくはびっくりした。なぜ偽名を使うのだと聞くと、カナダに留学していたときに、同じ状況で日本語の本名を伝えると、必ず数回聞き直され、そして必ず間違って呼ばれるのでスミスなどの英語の偽名を使うようになり、それ以来の習慣だと答えた。かの地の日本人でそうする人は多いのだとか。

 なんだよ、かっちょいい話じゃないか、てやんでい、とか思ったら、

 「でも最近はイチローとか答える人も多いらしいよ」

 とのこと。



 「かっちょいい」撤回。



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*1
プライバシーがどうのこうの、と言うほど大げさではないんだけど「なんでこんなファミレスで俺様の大事な本名を使わなくちゃならないんだ」とか、思いませんか?思いませんか。ああそうですか。

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(総裁談)





2002/07/14  

 工藤静香が24時間テレビのTシャツをデザインしたそうだ。

 『二科展に10回連続入選を果たし、芸術家としての評価も高い静香が、独特の感性で“家族愛”を表現した作品となった。「テーマは家族。『心電図』をヒントに描きましたが、丸みを出すのに苦労しました。でも、最後には柔らかさがでましたね」と、出来栄えに自信たっぷりだ「よく描けました。前だけじゃなく、背中もデザインしたかったぐらい…」』(*1)

そりゃすごい。さぞかし、すばらしい作品なんだろうと思って、見たら(下)。



 …すごいなあ。さすが「芸術家」。「クリップアート」でつくるとは。


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*1
ていうか、二科展ってなんなんだろう、っていつも思うんだが。日本アカデミー賞みたいなものか。

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(総裁談)





2002/07/14  

 「ベテラン」の手つきというのは何か変だ。

 緑の窓口で、タッチパネルとテンキーで指定席の発券操作をするJR職員の指さばきを見ていてそう思った。ものすごいスピードで滑らかな動きなのだが、キーを押した後の余韻の動きが大げさだ。同じような動きは、やけに気取ったウェイターにも見られる。

 こういうやらしい感じはどこかほかでも見たことがあるなあ、と考えて思いついたのはパラパラの動きだ。

 ぼくらはいわば「団地のベテラン」だと思うのだが、パラパラの動きには程遠い。「パラパラ」というより「ハラハラ」だ。あるいは「ビクビク」とか「ワクワク」とか「ドキドキ」とか。

 団地マニアの夜明けは遠いと思った。

(総裁談)




2002/07/13  

怪異・妖怪伝承データベースには「怪異・妖怪」の定義が書かれている。

・不思議だ、奇妙だ、と思うような現象に遭遇
・その現象は、音や、臭いや、姿かたち、あるいはその組み合わせである
・現象に遭遇した者が、神とか霊といった存在の仕業ではないかと判断する
・そのとき、その現象に「怪異・妖怪」現象というラベルを貼ることが可能となる。

週末、団地を巡っていると様々な団地に遭遇する。
この出っ張り不思議だ、エレベータータワーは太すぎて奇妙だと感じることがある。
もちろん、「こんな人んち臭がするなんてどんなシャンプーを使っているのだろう」と思いを馳せる事もある。

「怪異・妖怪」と団地の重なる部分の多さを分って頂けたと思う。
しかし、多くの場合、神の仕業ではないかという判断には至らずに終わっている。

ところが、東京都墨田区にある白髭団地はその判断は異なる。畏敬の念すら覚えるその巨大な塊は神の仕業と見まがう程だ。
もうこうなると「怪異・妖怪」のラベルを貼っても良いと思う。

実際は「かみ」違いで「お上」の仕業だ。
美濃部都知事のもと隅田川のほとり1キロにわたって防災拠点として作られたという。

(N談)


2002/07/11  

アイロンプリント紙を買いにいった。
30近くなるとちょっと恥ずかしくなる買い物の一つだ。

店内は広くなかなか見つけられない。店員に聞こうと思ったが、「いい年してオリジナルTシャツつくるか?」と思われるのがいやで自力で探すことにした。
レジでもそんな風に思われないよう「あ、領収書下さい」とか「プレゼント用にしてもらえますか」とか無意味な言い訳を考えながら探す。

すると程なくバラエティコーナーでアイロンプリント紙を発見した。
羞恥心をあおり立てる「バラエティ」を反復しながらレジへ向かう。
結局、レジの故障で客全員に手書きの領収書が配られ、店員に言い訳を言う暇もなくあわただしく会計が終わる。

恥ずかしさってこんな感じで過ぎ去って行くんだなと思いながら、領収書を見ると「アイーンプリント紙」と書かれている。
どことなくバカにされている感じ。バラエティコーナーに置かれていたのには納得。

(N談)




2002/07/10  

 会社であるおじさんに「今日もオシャレさんだね」と言われた。

 ところでとあるNewsサイトで見つけた記事(*1)。「マックワールド」というApple社が世界各国で行っているエキスポに関する内容だ。記者はそこへ来る日米のマックユーザーたちの、服装の違いについて報告している。

 ぼく自身はマックワールドには行ったことがないが、ひとりのマックユーザーとして、また、ひとりの「オシャレさん」として、興味を持って記事を読んだ。曰く、


「マックワールドといえば、サンフランシスコではオタクだらけだし、ニューヨークでも多少ましな程度だ。ところが、東京の来場者で一番目につくのは、服装に気を遣い、最新ファッションを身につけた若者(写真)たちだ。コンピューターの展示会というよりは、パーティーやファッションショーに来ているようだ。」


 で、添えられていたのが下の写真。



…もう、ぼくを「オシャレさん」と呼ぶのはやめてください。


---
*1
<http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020325201.html>
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(総裁談)




2002/07/09  

 外人さんに日本語を教える夢を見た。

「出るとこ出てる」



「出るとこに出てやる!」

の違いをドイツ人に教える夢だ。

 夢の中でぼくは、違いを一通り説明した後「出るとこ出てる女に迫られて、その挙げ句に出るとこに出られちゃうのがマイケル・ダグラスです」と補足説明をしていた。

ドイツ人はちょっと困った顔をして「ヨクワカリマセン」と言っていた。


夢の中とはいえ、この説明は自分でもどうかと思う。

(総裁談)





2002/07/08  

 会社にいると、昔は活躍していたが、今はとりたててどうという働きもしていない人を、ときどき見かける。もう役に立ってないんだからクビにすればいいのに、と思うこともある。

 でもそうするのって色々大変なんだろうな、とも思う(*1)。

 ところで駅のプラットホームでは「黄色い線の内側までおさがりください」という注意がなされる。ここでいう「黄色い線」とは目の見えない人用の凹凸のあるあれ(*2)で、これは本来「これより外側にいると危ないですよ」ということを意味するものではない。それを意味しているのは、今でもしばしば残っている、タイルの白線のほうだ。

 でも駅員はもはや白線のことなどふれもしない。もう役に立ってないんだからなくせばいいのに。

 でもそうするのって大変なんだろうな、とも思う。

 ってゆうか、白線より黄色い線の方がかなり内側だ。そんなふうに「ここまでは大丈夫」の基準って簡単に変えていいものか。

 っていうか、あの「黄色い線」って、「線」と呼べる太さだろうか。あそこまで太いと「内側」って、黄色いエリアの中のことのような気がする。


 ラッシュ時に凹凸の上に押し合いへし合い、びっしりと並ぶサラリーマン。


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*1
自分もそうなるかもしれないとも思うので、あまりこれ以上は。ていうか、すでに役に立ってないかもしれない。

*2
なんて言うんでしょう?あれ。

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(総裁談)




2002/07/07  

ある種の盛り上がりや、その盛り上がりへの便乗などで通常とは異なる材質で製品が作られることがある。盛り上がりバリエーションとでも言ったら良いかもしれない。

先日、木工家具の展示会で、木製のサッカーボールが展示されていた。木目が浮かび上がる程磨かれた表面、形の精巧さはワールドカップへのある思いが形になったのだろう。

金町駅前団地の配置案内板もその一つだ。
通常、配置案内板は金属や木の板にペンキで表示されるのだが、団地の完成の盛り上がりか配置案内板の材質がいつもと違う。
モザイクなどを用いた立体的な石造りになっているのだ。

前者との違いは作り込んでいるのにへたくそ感がある点だ。盛り上がり過ぎて制作が手につかない浮かれ気分がうかがえる。

こういったバリエーションの意義が盛り上がりを伝えることならば「作り込んでいるのにへたくそ」であることで成功していると思う。

(N談)




2002/07/06  

 以前大阪に出張したときのこと。早めに会議が終わったのでかねてから気になっていた団地を訪ねることにした。いつも新幹線の窓から見えるステキな団地だ。どうやって行ったらよいかよく分からないまま最寄り駅と思われる駅の見当をつけ、適当に歩きだした。

 それから2時間。すっかり迷ってしまった。日もとっぷり暮れてしまった。かなり心細くなったとき、通りかかった歩道橋に「新庄」と書いてあるのを発見。

 ああ、新庄。それはいったいどこ。ローソンにがあったので地図を立ち読みしようと思ったら、地図系の書籍には全て紐がかけてある。ああ、新庄。

 で、知り合い何人かに「大阪の新庄と言うところで迷って心細くなっている」という旨のケータイメールをしたところ、ひとりから「(新庄と書かれていた)その歩道橋は日本車輌鉄鋼本部が補修・補強工事をしたようです」という返事が返ってきた。インターネットで「新庄・歩道橋」を検索したようだ。

 迷子になって、手がかりが歩道橋に書かれた地名だけ、という状況で困っている時に、その歩道橋の補修に関する情報がリアルタイムに入手できる。


 これがIT時代なのだと思う(*1)。


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*1
通りかかったバスに乗って、やっとのことで新幹線に飛び乗って無事東京に帰ることができたが、結局新庄がどこだったのかはよく分からないままだ。そしてその新幹線車内の電光掲示に「新庄がベストドレッサーに選ばれた」というニュースが流れたのを覚えている(*2)。

※2
ほかに「平井堅さん」「渡辺貞夫さん」が受賞したらしいが、なぜか新庄だけ「さん」がついていなかった。

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(総裁談)





2002/07/05  

 新幹線の自動改札機は切符を裏返して入れても、表になって出てくるようになっている。改札をくぐって最初にすることは、たいてい乗る列車の番号などを確かめることだろう。そしてその番号なんかは切符に書いてあるのだから、これは親切な仕組みだ。

 ところが、乗車券と特急券を重ねて入れると、必ず乗車券が上になって出てくる。入れるときにその逆にしても、そうなって出てくる。列車の番号などは乗車券ではなく特急券に書いてあるので、せっかくの表になって出てくる仕組みもこれで台無しだ。

 工夫したつもりが、最後のツメが甘いところがぼくに似ている(*1)。

 と書いて、いま気がついたが、JRは別に親切のためにやっているのではないのかもしれない。むしろ親切を装ったさりげない嫌がらせとか。そうだとしても、やはりぼくに似ている(*2)。


 よりぼくに近づいたといってもいい。


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*1
似たもの同士だが、相手がJRであるために親近感は感じない。向こうもそうだと思うが。

*2
でも親近感は感じないですけどね。JRだし。

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(総裁談)




2002/07/04  

 住友銀行とさくら銀行が合併して三井住友銀行になって久しいですが。

 「ふたりとも同じぐらい好き。だからどっちも選べない」

 ライバルとひとりの女の子をめぐって鞘当てを演じ、最終的に彼女に選んでもらおう、なんてことになってこのセリフが出てきた場合。

 たいてい言ったその子は1週間後には全く違う第三者の男とつき合っている。そしてともに戦ったライバルはさっさと別の娘と仲良くなってて、自分だけが独りとり残されたりする。


 住友銀行の「バンクー」はいまきっとそんな気持ちに違いない(*1)。


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*1
ライバルはドラえもんとヒロスエだった。勝ち目は、無い。
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(総裁談)




2002/07/03  

小学生の皆さんは今年の夏休みの自由研究は朝顔の観察とかじゃなくて、ソフトモヒカンの人の数をカウントするといいと思う。

「8月12日:4人。うち2人は電車のなかで隣同士に座ってしまっていました。お互い無視するのに必至のご様子でした」

とか(*1)。

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 ところで。ある製品開発の会議に出ていました。

営業、技術、エンジニア、デザイナー、とあらゆる関係者が一堂に会してああでもないこうでもない、とやっていた。こういう会議は時間がかかるだけかかって結論が出ないで終わる場合が多い。人が大勢集まると議論が迷走してしまうのはよくあることだ。

似たような経験をこの前したなあ、と思い出したのはNなど7人ぐらいであるイベントに行った時のことだ。それぞれがおしゃべりしながらなんとなく歩いていると、結果的にとんでもないところに辿り着いたりする。「どこ?ここ」とかみんなで言ってた。


 「こっくりさん」って、こういうことか。

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*1
実話。
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(総裁談)





2002/07/02  

 都市基盤整備公団(旧住宅都市整備公団)は、江東区東雲一丁目に建設中のデザイナーズ賃貸住宅の名称を「東雲キャナルコートCODAN」とした(*1)。CODAN。

 なんだかなー、と思っていたら小柳ルミ子が「rumico」と改名したそうだ(*2)。rumico。「自分が本当に歌いたかったJ-POPのシンガーとして生まれ変わるために踏み切った決意の選択。50歳を目前に心機一転、新たなスタートを切る」とのこと。

 公団も日本住宅公団法が1955年に制定されてからかぞえると、約50年の歴史を持つ。rumico(旧小柳ルミ子)は「小さなころから親しんできた音楽はポップス。歌謡曲や演歌は嫌いじゃないけど好きでもない」との思いを募らせていたのだという。

 我々住宅都市整理公団は主に1960~70年代に建てられた団地を蒐集している。それは80年代以降には見られない当時の団地デザインがステキだと思っているからだ。「東雲キャナルコートCODAN」にもあまり興味がない。

 「CODAN」を名乗るにはそれなりの決意があるのだろうが、「小さなころから親しんできた集合住宅はマンション。70年代団地は嫌いじゃないけど好きでもない」などとは、言ってほしくない。


 ていうか、どうしても「CO」が使いたかったんなら「COYANAGI」でよかったんじゃないかと思う(*3)。

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*1
2002/04/11のかもだより参照

*2
鈴木蘭々はいつのまにか「LANLAN」に改名していた。たぶん10BASEだと思う。

*3
なんなら「COYANAGY」でも。特別に許す。
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(総裁談)




2002/07/02  

興信所のチラシがポストに入っていた。

手をつなぐ家族のシルエットの上に印刷されているコピー。
「あなたの”愛”は本物ですか?」

突然そんなことを言われても困ってしまう。
僕が”愛”と聞かれて思い出すのは

・愛の店ダスキン
・ホストクラブ 愛
・愛川欽也

これらが本物かどうか?これも結構困る。
本物じゃないと言われればそうかもしれない。
でも愛川欽也は「あんたは本物だよ」とか言ってそうな気がする。

(N談)


2002年6月のカモだより