2005/04/28  

「天気予報がはずれた」と言って怒る人がいる。

たしかにしばしばはずれる天気予報だが、聞くところによると精度を高めるべくさまざまな努力がなされていると聞く。しかし、発想を変えて「はずれても怒られないようにする」という方向の努力もしてみてはいかがだろうか。

たとえば「予報」でなく「占い」って言うとか。天気占い。占いがはずれたからって怒る人はいないだろう。こういう後ろ向きのソリューションは個人的に大好きだ。

「ラッキーアイテムは傘」とか言えばいい。細木数子が全国地図を前に適当なことを言うっていう演出も良いと思う。

朝の情報番組で天気予報と占いを立て続けにやるケースが見られるのは、あんがい本気で将来的には一緒にしてしまおうとしているのかもしれない。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/26  

最近デジカメの寸法表示で「最薄部」という言葉を目にする。「最薄部1センチ以下」とか。

最薄部。ずるくないか、それ。ふつうプロダクトの寸法は「最大外形寸法」(*1)を表示するものだろう。

最薄部の薄さをアピールしたいんなら本体からちょろっと薄ーい板とか出しとけばいい。最薄部1ミリ以下だって可能だ。

最薄部が許されるんだったら、スリーサイズも「B、S、H」にすればいい。「S」は「最薄部」のSだ。ウェストじゃなくて手首とか。

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*1
スリーサイズで思いついたけど、「最大外形寸法(突起部含まず)」がバストだと思うと、なんというか、こう、「突起部」にぐっと来るものがある。その突起部は是非含んでいただきたい。

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(総裁談)
 
 
 

2005/04/24  

本日放送された「熱中時間」に出演していたわけですが。

一番の見どころは真島会長作、茂木アナナレーションのオープニング映像だったと思います。

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その番組の収録時に同じ学科を卒業したというスタッフのかたと話をした。「テレビの世界って、面白そうなお仕事ですよね」と言ったら「いや、どの業界もめんどくささとかつまらなさの種類が違うだけで、仕事って同じようなものだと思いますよ」と言っていた。

ところで「夢と魔法の国」なんていう言い方がある。

現実の今の世界と対極の世界として「魔法の国」が表現されたりすることが多い。つまりぼくらが生きている現実の世界とは違って、そこには夢があり、心躍る愛と冒険の世界というわけだ。なんせ魔法が使えるんだから。

だけど、ぼくが今まで見聞きしてきた魔法の国の物語では、一言一句呪文を正確に唱えなきゃならなかったり、アイテムが必要だったり、修行が必要だったり、けっこうめんどくさい。

これって、仕事進めるために稟議書を書いたり、証書を手に入れるために役所でたらい回しにされるのとあんまり変わらないんじゃないか。

めんどくささとかつまらなさの種類が違うだけで、現実の世界も魔法の世界も同じなのかもしれない。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/23  

テレビで、ある女性のことを

「竹を割ったような性格で、気持ちのいい女性だ」

と表現しているのを耳にした。

「気持ちのいい青年」といえば「さわやかでさっぱりとした好感の持てる青年」といった意味だろうが、「気持ちのいい女性」って。あの、なんかこう、別の意味っぽい。

おやすみなさい。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/21  

プラットフォームに大きい鏡が設置されている駅がある。

これは飛び込み自殺防止のための工夫なのだとか。自分の姿をみてはっとして思うとどまるものなのだそうだ。

ところで鏡と言えば昔から不思議に思っているのが、丸い化粧鏡だ。ふつうの鏡の裏が凹面鏡になっている、あれだ。

なぜ裏は凹面鏡なのか。顔を大きく写すことによって微妙な化粧作業をやりやすく、と言うことなんだろうなとは思うが、本当に使いやすいのか。何人かの女性にあの凹面鏡の方を使っているかと尋ねたが、だれも使っていなかった。

実はあれはそういうためのものではなくて、駅の鏡のように「はっとさせる」ためのものなのではないかと思う。ふつうの面だと思ってのぞき込んだら凹面鏡でびっくりすることがよくあるし。

化粧前にはっとさせるとどんな効果があるのか。それはここでは語らないでおこう。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/20  

最近やたらと「トロ」を冠した魚が多い。

「トロ」と言えばこの間まではマグロだったはずだ。それがいまや「トロ鯵」だとか「トロサーモン」だとか。「豚トロ」なんてものまである。トロのデフレも甚だしい。

「トロ」が付くだけでなんとなくありがたがっているが、その実力は本物なのか。だって「トロ」とったらシャケとかだよ。

「トロ」にこれほどのありがたみがあるのはひとえに、これまでのマグロの努力のたまものだろう。良いところだけを持って行くようなまねはいかがなものか。

ぼくが予想するに次は「舌」がくるんじゃないかと思う。「舌平目」のあれだ。よく考えてみると「舌」がなかったらただの一介のヒラメだ。

ていうか、「舌平目」って「ムニエル」以外の調理法はないのか。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/19  

子供の頃、天国の光景と地獄の光景を比べると地獄の方が内容が具体的なのはどうしてだろう、と疑問だった。

血の池、針の山、賽の河原、などいかにも地獄らしいパビリオンはよく知られているが、天国の方と言えば、なんか雲の上でふわふわしてて、明るくてなんとなく泉とか噴水とかがあったりお花畑があったり。具体性に乏しいことおびただしい。それはほんとに天国か。退屈なだけじゃないのか。

人間、「苦しいこと」に関してはいくらでもクリエイティブになれるが、「極楽」に関しては思いのほか想像力に乏しいのでは、と思ったものだ。

しかし、そう思ったのはぼくが子供だったからだろう。いまはもう少し違う「極楽」を想像できる。おもに、なんだ、その、「女性」という極楽要素があるんだよね、大人には。

と、高校生の頃は思っていた。そう思ったのはぼくがまだ子供だったかだろう。

いまはやっぱりふわふわして退屈な天国がほんとの天国だと、つくづく思う。会議とか請求処理とか残業がない。それで充分だ。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/17  

「なんでも自分で出来ちゃうしっかりした女は『負け犬』になりがちだ」という発言を耳にした。「ちょっとぐらいドジで隙があったほうが男にかまってもらえる」のだそうだ。

前回の「カモだより」で「出来」について書いたところ、実に多くのメールをいただいた。

「出来」は「デキ」じゃなくて「しゅっ‐たい」と読み、「物事ができあがること」を意味するのだそうだ。知らなかった。お恥ずかしい。でも「重版出来」でしか使わないよね、「出来」。

ふだんほとんどメールをいただくことはないのだが、今回は上記の指摘をするたくさんメールをいただいた。

「ちょっとぐらいドジで隙があったほうがかまってもらえる」とはこういうことか、と思った。今後もさびしくなったら誤字を織り交ぜていこうと思う。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/15  

本の広告で「重版出来!」という言葉をしばしば見かける。

人気だったので増刷したよ、ということなんだろうが、この「出来!」ってどうなんだ。この表現、本の広告でしか見かけたことない。

ちゃんとした言葉なのか。他の動詞で同じように活用の語尾が省略してみると変なのだが。

「ますますお求めやすくなり!」
「あなただけに贈!」
「最新技術を使いこな!」

確かに「出来ました!」より「出来!」のほうが勢いは感じる、と思ったがこうやって他の動詞で見てみると別の疑問が浮かんでくる。つまり活用語尾を省略すると、重版出来たのか出来ていないのかがあやしいのだ。肯定・否定は活用語尾で表現されるので。

もしかして重版されていないのか。

一見勢いは感じるが、実は出来た、と保障はしていない。なかなか含蓄のある表現だ。

今後、仕事で「企画書出来!」とか「売上目標達成出来!」というように使っていこうと思!。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/13  

例年の30倍と評判の高かった杉花粉だが、症状は例年通りって人が多い。

花粉症の症状はあるレベルで飽和するのかもしれない。いくら花粉を増やしても症状がひどくなったりはしないと。

先日経済評論の記事で「通貨供給量をいくら増やしてもインフレになったりはしない」という一文を目にした。つまり花粉症と同じ、と解釈しました。

花粉症を通じて学ぶ「流動性の罠」。日本経済の夜明けは遠い。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/11  

大きい地震があったときのテレビニュースで、地震発生時のテレビ局内を写しているものがよくある。

天井からぶら下がってる「編集部」とか書かれた部局の名前の看板が揺れているところとか、壁に掛けられているヒモとかが揺れているところとか。「なんか撮らなきゃ」というカメラマンの熱意は感じるが、いかんせん地味だ。揺れてるヒモだし。

「地震の映像」を撮るのは難しいと思う。大きな被害があった様子(家がつぶれているとか、道路が地割れをおこしているとか)ではなく、「地震がおこっている瞬間」を撮ろうとするとこういうぬかった映像になる。

もう何年もこういう地味な映像を撮らざるを得ない状況に陥っているのだから、部屋に派手に揺れを感じさせるもの(あらかじめ積まれている「ジェンカ」とか)を置いておくテレビ局があらわれてもいいんじゃないかと思う。地震大国日本ならではの知恵だ。しかしそういう局は今のところないようだ。

「そういうのやっちゃったらヤラセっぽい」と思っているんだろうか。でも、テレビ局の屋上に置かれているカメラの「町が揺れている映像」だってある意味ヤラセっぽい。ずるい。あれはカメラが揺れているんだろうに。わざとユルく取り付けてないか、あれ。あれで「地震発生当時の千葉市街の様子です」って言われても。

ヤラセがだめなら屋上には「手ぶれ補正機能」の搭載されたカメラを置くべきだと思う。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/11  

昨日10日のデイリーポータルZの特集で「おしゃれ染めハウス」を鑑賞するという記事を書きましたよ。

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「万能ネギ」は英語でなんと言うのか、という議論になった。結論は「Wild Card」。

たぶん、英語圏に「万能ネギ」自体がないと思います。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/07  

システィナ礼拝堂で行われていようとしている、次の法王を選ぶ会議。多数派工作なども始まりピリピリした雰囲気になっていますが、ここ日本では「コンクラーベ」という言葉を前に、誰でも思い浮かべるであろうそのことを言っちゃっていいものかどうか、ピリピリした雰囲気が続いています。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/06  

仕事で、元技術者あがりの営業さんという人にあったことがある。

この人、優秀な技術者だったらしいが、噂によると営業になってもときどき技術屋魂がむらむらとわき上がり、自分で詳細な仕様書とか設計書とか書いちゃったりするらしい。で、肝心の営業活動の方がおろそかになるとか。

で、おろそかになった分を「優れた設計」とか「クライアントの協議の結果がその場で詳細仕様書に反映」とかで補おうとするらしい。本末転倒だ。開発陣からは煙たがられているとか。そこで補おうとせずに、本来の役割のほうで解決してくださいよ、と。

ところで時代劇では将軍とかお奉行さまとかが市中で一介の江戸市民になりすまし、事件を解決する、というものがある。

しかし将軍とか奉行職とかって、そんな一人二役をこなせるほど暇じゃないだろう。肝心の役割の方がおろそかになっちゃいないか。

じつはおろそかになった結果、江戸の町に犯罪が増加し、それを一介の市民のふりをする方で補おうとしているんだったら本末転倒だ。

これからくだんの営業さんのことを「暴れん坊」あるいは「金さん」と呼ぼうと思う。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/05  

飛行機が発明される以前の古い映像で、でっかい翼を持った人が一生懸命羽ばたいて飛ぼうとして失敗する、というシーンを見たことがあると思う。

今見ると滑稽だ。人間の体重に対してその筋力では、羽ばたいて飛ぶことはできない、というのは今なら小学生でも知っている。

しかし一生懸命羽ばたいた彼を馬鹿だなあ、と笑うのは言うなれば時代の後知恵というものだ。フェアじゃない。ぼくも当時同じ状況に置かれたらやっぱり一生懸命羽ばたいたんじゃないかと思う。

アンフェアながら今から見ると「馬鹿だなあ」と思うことは歴史上いっぱいある。人間が目でものを見ることができるのは、目から光線のようなものが出ているからだ、と信じられていたこともあったし、酸素が発見される前はものが空気中で燃えるのは「燃素」というものがあるからだと信じられていたし、空間を光が伝わるのは「エーテル」というものが空間に充満しているからだと考えられていた。などなど。

「今はすでに分かっているが昔は分からなかったこと」は目につきやすいので、ときどきもう人間が分かっていないことは昔ほど多くないと思いがちだが、きっとそんなことはない。

たぶん今僕らが一生懸命やっていることのほとんどは、後の人々から「そんなんでうまくいくわけないじゃん。馬鹿だなあ」と思われることなのかもしれない。

固体の中で電子はどのように振るまっているのかとか、超伝導体の作り方とか、脳の働きとか、放送メディアとインターネットの融合を目指した敵対買収とか。

(総裁談)
 
 
 

2005/04/02  

ラーメンのトッピングが分からない。

ふつうの「ラーメン」というメニューに加え、「チャーシューメン」「ネギラーメン」などが用意されていても、たいていふつうの「ラーメン」にもチャーシューとネギは入っている。

そこに2、3枚チャーシューが増えただけで200円増し。腑に落ちない。

たとえばハンバーグレストランに行ってふつうの「ハンバーグ」と「おろしハンバーグ」があったら、ふつうの「ハンバーグ」のほうには大根おろしは付いていないだろう。

ところが、「たまごラーメン」だけは別格だ。「たまごラーメン」を頼まない限り、ふつうの「ラーメン」に煮たまごが入っていることはない。チャーシューやネギとは違う、真の特別感。この待遇の差は何だろう。

ぼくが煮たまごがあまり好きでない理由はここらへんにあるのではないかと思う。

(総裁談)
 
 
 

2005年3月のカモだより